ワインを寝かせることで味わいや色にどのような変化が生じるのでしょうか。赤ワインの場合は長くて2年間寝かし、ワインの味わいに深みを与えます。今回は、熟成によって変わる赤ワインと白ワインの味と色について紹介します。
□ワインは寝かせることによって色が変わる?
ワインの色は、寝かせる環境や期間によって、少しずつ変化していきます。では、なぜそのような変化が起きるのでしょうか。その理由は、ワインの中に入っているポリフェノールの1種であるアントシアニンが様々な成分との結合を繰り返すことで化学構造に変化が生じるからです。
アントシアニンとは、植物界において広く存在する色素のことで、ぶどうの果皮に多く含有されています。赤ワインの場合は、長い期間寝かせることで赤い色素成分であるアントシアニンが少なくなり、より渋く、枯れたような色へと変わっていきます。
白ワインの場合は、ぶどうの種子や果皮を一緒に醸さないため、赤ワインよりもポリフェノール量は少なくなります。ポリフェノール量が少ないからといって、色がずっと綺麗かと言われるとそうではありません。白ワインに入っているポリフェノールは、酸化がしやすいといわれていて、白ワインも赤ワインと同様に時間が経過するにつれて褐色に近付いていきます。
ワインを寝かせる樽には、木樽とステンレスタンクがあります。
赤ワインを造る際は、木樽が使われることが多く、白ワインを造る際は、ステンレスタンクが使われることが多いです。一般的に木樽を使う方がワインにより深みを与えるとされています。木樽の場合、木目から程よく酸素を取り入れられ、酸化によって味わいに深みが加わります。複雑な味わいに仕上げたい時は、木樽を使って造るのが良いでしょう。
ステンレスタンクは、取り扱いがしやすくコスト面でも優れています。これは木樽とは違い、空気を一切通さないため、フレッシュな味わいに仕上げられます。また、ステンレスタンクは、低い温度で管理できます。このように酸素に一切触れない環境で低温に保たれれば、酸化のスピードが遅くなり、色の変化のスピードも遅くなります。
□熟成によって変わる赤ワインの味と色について
では、ワインは寝かせることでどのような色の変化を遂げていくのでしょうか。色の変化は、特別な技法を使わない限り、理論通りに進みます。そのため、色を見るだけでどれくらいの期間寝かされていたのかが判断できるでしょう。以下より、熟成によって変わる赤ワインの味と色について紹介します。
1段階目は、ルビー色や赤紫色です。
まだ若いワインの時は、青みがかった赤色の場合が多く、フレッシュな印象を持つ「ルビー」や「赤紫」といった色で表現されます。ルビー色の場合は、ザクロやストロベリー、スモモなどの酸味がある赤いベリー系の果物を感じさせる味わいになります。また、まだしっかりと熟されていないカベルネソーヴィニヨンといった濃い赤色のワインは、カシスやアメリカンチェリーを感じさせる風味となっています。
2段階目は、オレンジ色です。
少しずつ熟されることで、色がルビーや赤紫からオレンジへと変わっていきます。酸化が少し進んでいるため、渋みが弱まり舌触りがだんだんとマイルドになっています。ドライプルーンやブラックベリーといったボリューム感のあるベリー系の果物を感じさせる味わいに変わります。
3段階目は、レンガ色です。
しっかりと寝かせると、アントシアニンの量が大幅に減っていくため、青みが無くなりだんだんと褐色に近付いていきます。レンガ色のような色まで到達すれば、「飲み頃」とされる高級ワインに分類されます。ブラックベリーやブルーベリーの味が強調され、ドライフラワーや乾燥イチジク、ラムレーズンといった風味を感じさせる味わいになります。
□熟成によって変わる白ワインの味と色
以下より、熟成によって変わる白ワインの味と色について紹介します。
1段階目は、グリーンです。
まだしっかりと寝かしていない若い白ワインは、透明感のあるグリーン色をしています。グレープフルーツやレモン、マスカットなどのさっぱりとした果物の風味を感じられます。
2段階目は、ゴールドです。
樽で寝かすことで、グリーンからゴールドに変化していきます。この色になると、マンゴーやパイナップル、パッションフルーツといった風味を感じるようになります。また、乾燥イチジクやくるみなどの風味も感じられるでしょう。
3段階目は、トパーズです。
ある程度熟されると、褐色みを帯びたトパーズに変化していきます。洋梨やアプリコットなどの味が強調され、甘味が強くなります。
□まとめ
今回は、寝かせることによって変わる赤ワインと白ワインの味と色について紹介しました。
自宅にあるワインセラーでお気に入りのワインを寝かし、味や色の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。この記事で疑問な点がありましたら、当社までお気軽にお問い合わせください。