「ビールは冷やして飲むが、ワインは冷やしていいのだろうか?」
「夏場は常温ではなく、冷蔵庫で冷やした方がいいの?」
このように、ワインの飲み方や温度管理について疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に赤ワインは、「常温で飲むもの」という認識が強いですが、この季節の常温はとても暑く、心配になる方も多いでしょう。今回は、「赤ワインは常温で飲む」という認識は実は誤解があるということを説明します。また、赤ワインの適温や保管する際の注意点についても併せてご紹介するので参考にしてみてください。
□赤ワインを常温で飲むことについての誤解
赤ワインを飲むとき、「室温いわゆる常温で飲む」と認識している方は多いです。しかし、常温と言っても季節によって気温が変わるため、1年中常温でいいのだろうかと疑問に思われることでしょう。ここでは、赤ワインを常温で飲むということについての誤解を解説します。
まず前提として、ワインは温度によって味わいが大きく変化します。
酸味、渋味、甘さはワインの味わいにとってどれも非常に重要な要素ですが、温度が変化するとこれらのバランスも変化します。ワインが低温で冷えているとき酸味と渋味が強調され、甘味は控えめになります。反対に、高温になると酸味と渋味はまろやかになり、甘味が強調されます。ワインを美味しく味わうためには、ワインの魅力を最大限に引き出せる温度で飲むことが大切です。
加えて、ワインは種類によって適温が異なります。
ワインの美味しさを感じられる温度は、種類によって異なります。赤ワインは、白ワインとは違い、冷蔵庫でしっかり冷やしてしまうと渋味が強調されてしまいます。そのため、赤ワインは常温で飲むと言われています。
しかし、「常温」は地域や季節によって異なりますよね。
赤ワインを常温で飲むと言われている場合の常温とは、フランスを含むヨーロッパの気候を想定しています。日本は高温多湿であり、ヨーロッパの気候とは全く異なります。夏や冬のような季節によっても常温は変化します。よって、「赤ワインは常温で飲む」という認識は、ヨーロッパでは正しくても日本では不適切な認識であることがご理解いただけたと思います。
赤ワインを飲む際には、「常温」よりも「適温」を意識するようにしましょう。
□赤ワインを飲み頃の温度にする方法とは
では、赤ワインの「適温」はどれくらいなのでしょうか。
先ほどもご紹介したように、赤ワインは冷蔵庫で冷やしすぎてタンニンが収斂しないように気を付ける必要があります。収斂性のあるタンニンを多く含むフルボディの赤ワインの場合、推奨温度は「約16度から20度」です。ミディアムボディの赤ワインの場合は、「約14度から16度」、ライトボディの赤ワインは、「約12度から14度」がおすすめです。
しかし、日本では赤ワインを適温の「約12度から16度」に設定するのは難しく、夏場は特に困難だとされています。一方で、夏場は赤ワインの季節とも言われています。酸、ミネラル、タンニンが汗をかいた身体をリフレッシュさせ、食欲をかき立てます。
ここからは、30度を超える真夏日でも赤ワインを適温にする方法をご紹介します。
1つ目は、ワインを冷蔵庫で冷やした後、室内に約1時間ほど置いておくことです。
ワインを置く室内の温度はクーラーを設定し、部屋にいる人が快適に感じるような温度にしましょう。1時間ほどクーラーの効いた室内にワインボトルを置いておくと、ちょうど適温くらいの温度になります。
2つ目は、赤ワインの適温の約12度から16度の氷水につけておくことです。
水をはったクーラーボックスに少しずつ氷を入れていくことで、氷水を常に約12度から16度に保つようにします。クーラーボックスの大きさなどにもよりますが、ワインボトルを2時間ほどつけておくことで、理想的な温度になります。
3つ目は、ワインセラーを使用することです。
ワインセラーと聞くと、どうしても高価な設備と捉える人が多いでしょう。最近は、ワインボトルが数本入るタイプや1本のみ入るタイプのワインセラーがあります。大きなワインセラーはワインを長期保存するために使われます。小さなワインセラーであればワインを適温に保てます。
□ワインを保管する際の注意点とは
赤ワインを日本の夏日でも適温で楽しむための方法を見てきましたが、ワインを保管する際には気をつけるべきことがたくさんあります。ワインの天敵と呼ばれ、長期保存の際にワインの劣化を引き起こす原因についていくつかご紹介します。
1つ目は、先ほどからお伝えしている「温度」です。
ワインの適温の約12度から16度以上の温度で保管するとワインの質は低下してしまいます。5月から10月の暑い日、特に30度以上の日に常温で保管することは避けるようにしましょう。
反対に、温度が低い冬場では氷点下にならない限り劣化することはありません。温度が低いと熟成のスピードが落ちるため、ワインを長期間熟成させたい場合は、冬の間、13から15度程度の加熱機能を備えたセラーで保管するのが理想的です。また、短時間での急激な温度変化も避けてください。
2つ目は、「直射日光」を避けることです。
日光がワインボトルに当たると、熱がワインに伝わり味が劣化する原因になります。夏場に窓辺に置いてしまうと熱が入ってしまうため避けるようにしましょう。また、冬場は新聞紙にくるむなどして常温保存してください。
3つ目は、「乾燥」を避けることです。
日本は高温多湿なので、乾燥を気にする必要はほとんどありませんが、乾燥するとワインコルクが収縮・劣化して酸化の原因になるとされています。ワインを長期保存する際は、ボトルを横にして、コルクがワインに浸る状態で保管すると良いでしょう。
4つ目は、「振動」を避けることです。
振動はワインの風味を劣化させてしまいます。例えば冷蔵庫で長期保存している場合、冷蔵庫の開け閉めの振動だけでもワインの味に影響を及ぼすとされています。
□まとめ
この記事では、赤ワインを常温で飲むことの誤解についてや、飲み頃の温度に設定する方法についてご紹介しました。ワインの天敵に気を付けて美味しい赤ワインを飲めるようにしましょう。ワインに関してご不明点等ございましたら、お気軽に当社までご相談ください。