赤ワインのボトルの中に沈殿物を見つけた時、皆さんはどんな気持ちになりますか。
せっかくのワインなのに、何か不純物が入っているんじゃないかと不安になる方もいるかもしれません。
しかし、その沈殿物は、決してワインの品質が悪いということではありません。
むしろ、熟成が進んだワインならではの証と言えるのです。
この記事では、赤ワインの沈殿物、通称「澱(おり)」の正体について解説するとともに、澱を取り除いて美味しくワインを楽しむための方法もご紹介します。
ワインをもっと深く理解して、豊かな味わいを堪能したいという方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
□赤ワインの沈殿物「澱」とは?
赤ワインのボトルの中で、黒っぽい浮遊物や、ビンの底に沈殿物を見かけることがあります。
これが、ワイン愛好家なら誰もが知っている「澱(おり)」です。
澱は、ワインの成分であるタンニンやポリフェノール、アントシアニンなどが熟成中に結合し、結晶化したものです。
1:澱はワインの熟成過程で自然に生まれる
澱は、ワインの熟成が進むにつれて、ワインの中の成分がゆっくりと変化し、互いに結合することで生まれます。
特に、赤ワインにはタンニンやポリフェノールが多く含まれているため、澱が生成されやすいと言われています。
澱の量は、ワインの品種や熟成期間によって異なりますが、一般的に古酒と呼ばれるような熟成期間の長いワインに多く見られます。
2:澱はワインの品質の指標になる
澱は、ワインの品質の指標の一つと考えることもできます。
澱が多く見られるワインは、それだけ長い年月をかけて熟成が進んでいることを示しているからです。
ただし、澱の量が多いからといって、必ずしもワインの品質が良いというわけではありません。
澱の量よりも、ワインの香りや味わいを総合的に判断することが大切です。
3:澱は安全に飲める
澱はワインの成分が結晶化したものであり、人体に有害な物質ではありません。
そのため、澱が入ったワインをそのまま飲んでも、健康上の問題はありません。
しかし、澱は舌触りが良くないため、せっかくのワインの味を損なってしまう可能性があります。
□澱の入ったワイン、美味しく飲むには?
澱は安全に飲めるものの、せっかくのワインを美味しく楽しむためには、澱を取り除いて飲むことをおすすめします。
澱を取り除く方法はいくつかありますが、ここでは、最も一般的な2つの方法をご紹介します。
1:ワインを寝かせて澱を沈める
ワインを寝かせることで、澱をボトルの底に沈めることができます。
具体的な方法としては、ワインを涼しい場所に立てて置き、1週間ほどしたらラベルを上にして寝かせます。
これにより、ボトルの底の一部にだけ澱が溜まっている状態になります。
栓を抜く際には、澱が舞わないようにゆっくりと開けることが大切です。
2:デキャンタージュで澱を取り除く
デキャンタージュとは、ワインをデキャンタと呼ばれるガラス容器に移し替えることです。
デキャンタに移す際に、澱が混ざらないようにゆっくりと上澄みを注ぐことで、澱を取り除くことができます。
デキャンタージュは、ワインを空気に触れさせることで酸化を促し、香りを引き出す効果もあります。
若いワインをデキャンタに移すことで、より芳醇な香りと味わいを楽しむことができます。
□ワインを「開かせる」デキャンタージュ
デキャンタージュは、澱を取り除くだけでなく、ワインを「開かせる」効果もあります。
ワインは、ボトルに詰めた後も、ゆっくりと熟成が進んでいきます。
しかし、若いワインは、まだ十分に熟成が進んでおらず、香りが閉じ込められている状態です。
1:デキャンタージュはワインを酸化させて香りを開かせる
デキャンタに移し替えることで、ワインは空気と触れ合い、酸化が進みます。
酸化によってワインの香りが開かれ、より複雑で豊かな味わいが楽しめます。
若いワインをデキャンタージュすることで、まるでワインが目覚めたかのように、香りが華やかに広がるのを感じることができます。
2:デキャンタージュはワインの味わいをまろやかにする
デキャンタージュは、ワインの味わいをまろやかにする効果もあります。
若いワインは、タンニンが強く、渋みが強く感じられることがあります。
しかし、デキャンタージュすることで、タンニンが空気と触れ合い、酸化されてまろやかになります。
3:デキャンタージュはワインを楽しむための儀式
デキャンタージュは、ワインを楽しむための儀式でもあります。
デキャンタにワインを注ぐ動作は、ワインに対する敬意を表す行為であり、ワインをより美味しくいただくための準備段階と言えます。
デキャンタに注がれたワインは、その美しい色合いと輝きを放ち、特別な時間を演出します。
□まとめ
この記事では、赤ワインの沈殿物である澱の正体と、澱を取り除いて美味しく飲むための方法について解説しました。
澱はワインの熟成過程で自然に生まれるものであり、安全に飲むことができます。
ただし、舌触りが良くないため、澱を取り除いて飲むことをおすすめします。
澱を取り除く方法として、ワインを寝かせて澱を沈める方法と、デキャンタージュする方法を紹介しました。
ワインを寝かせる方法は、手軽にできる方法ですが、時間がかかります。
デキャンタージュは、より効果的に澱を取り除くことができ、ワインの香りを引き出し、味わいをまろやかにする効果もあります。
澱の入ったワインを美味しく飲むためには、適切な方法で澱を取り除くことが大切です。
ワインの知識を深め、より豊かなワインライフを楽しんでいきましょう。