ワインには赤や白、ロゼなどがありますがオレンジワインも存在するのをご存知でしょうか。オレンジワインは文字通りオレンジ色のワインで、近年注目を集めているのです。ただ単にオレンジを漬け込んだフルーツワインでもありません。オレンジワインとはどんなワインなのでしょうか。今回はオレンジワインやその歴史、楽しみ方についてご紹介します。
□オレンジワインとは?
オレンジワインとは、材料に白ぶどうを用いて赤ワインと同じ製法で造られたワインのことを指します。白ぶどうの皮も一緒に醸造することで、オレンジ色になるのです。このワインの色が「オレンジワイン」と呼ばれるようになった由来です。果物のオレンジが材料に使われているわけではありません。また、「アンバーワイン」と呼んでいる地方も存在します。
オレンジワインは、アプリコットやオレンジピールのようなロマンティックな白ワインの香りがします。白ワインの多くは清涼感やフレッシュな香り、キレのある酸味が特徴であるのに対して、オレンジワインは熟れた果実やドライフラワーのトーンがあります。
また、味わいは赤ワインのような渋みと苦味を併せ持ったものです。少し強めの味わいであるため、初めて飲んだ時には飲みにくいと感じる方もいらっしゃるでしょう。飲み続けることで、自然の旨みを凝縮したような味わいを感じられるようになります。
オレンジワインにはさまざまなぶどうの品種が使用されています。ジョージアの固有品種であるルカツティリや、北イタリアの固有品種であるリボラジャッラなどが挙げられます。また、ピノ・グリや甲州など、白ぶどうの中では果皮の色合いが濃いものからもオレンジワインが造られています。
今後、さらに多様な品種をオレンジワインに仕立てる試みが行われるでしょう。
□オレンジワインの歴史について
オレンジワインの歴史は非常に古く、約8000年前にはじめて造られました。ヨーロッパとアジアの境に位置するジョージアで、クヴェヴリのなかで白ぶどうを発酵させて造ったのです。
クヴェヴリとは、卵型の「かめ」であり、地中で醸造することで温度変化の少ない環境でワインを発酵させられます。このクヴェヴリを使用した製法は、2013年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。
ジョージアで生産されるワインの1パーセントほどしかないこの製法のワインは、長らく市場に出回っていませんでした。しかし、ソ連に支配されていたジョージアが1991年に独立したことで、ジョージアのワインも少しずつ世界に広まっていくようになったのです。一時期は歴史から姿を消していたものの、1990年代後半にあるワインの造り手が復活させたのです。
白ワインには赤ワインのように酸化を防止する働きがあるタンニンがほとんど含まれていません。そのため、白ワインには酸化防止剤を入れなければならなかったのです。
しかし、オレンジワインの製法であればタンニンが果汁に含まれるため、酸化防止剤を取り入れずにワインを造れるのです。1998年に最初のオレンジワインが出回ると瞬く間に注目が集まり、現在ではイタリアやジョージア、日本などでも製造されるようになりました。
□オレンジワインの楽しみ方をご紹介!
*料理との相性
オレンジワインは果皮と果汁を一緒に発酵させているため、複雑な香りが特徴的です。この香りは、幅広い料理にマッチします。例えば、赤ワインや白ワインと合わせるのが難しいとされているインド料理や韓国料理ともよく合います。
また、エスニック料理のようなスパイスやハーブが効いた料理とも相性が良いと感じるでしょう。もちろん和食ともよく合います。
軽く造られたオレンジワインであれば、パスタ、サンドイッチ、ハンバーガーなどの軽食ともよく合います。幅広い料理に合うことが、オレンジワインの人気が高まった理由の一つと言えるでしょう。
*グラスや温度
一般的に、オレンジワインは冷やしすぎないほうがその良さを楽しめるとされています。ただし、オレンジワインにもさまざまな種類があり、白ワインに近いものであれば冷やして飲むのがおすすめです。
また、オレンジワインに合うグラスの形については専門家の間でも意見が分かれています。
原則として白ワインと同じ扱いで良いと考えられていますが、香りが複雑だと感じる場合は大きめのグラスに替えると良いでしょう。
□まとめ
今回はオレンジワインやその歴史、楽しみ方についてご紹介しました。オレンジワインは赤ワインや白ワイン、ロゼとも異なるワインです。白ぶどうを材料とし、赤ワインの製法で造られたワインのことをオレンジワインと言うのです。起源は約8000年前にまでさかのぼり、ジョージアで造られたのがはじまりです。また、オレンジワインは赤ワインや白ワインにはない独特な香りと味わいを楽しめ、さまざまな料理ともよく合います。まだ試したことのない方はぜひ、この機会にオレンジワインに挑戦してみてはいかがでしょうか。