「『オーガニックワイン』って、一般のワインと違うの?」と思っている人もいるかと思います。そもそも「オーガニック」ってどういう意味でしょうか。

簡単にまとめると、「オーガニック」とは「有機」と同じ意味で、肥料には天然由来の物質だけを使い、3年以上禁止された農薬や化学肥料を使用しない土壌作り、栽培の段階でも農薬や化学肥料を使わない栽培法、農薬に頼らない除草や害虫防除、遺伝子組換え種苗は使わないなどの規定を守った農法で生産されたものを指します。ただし、日本のオーガニックについて規定している「有機JAS規格」では、30数種類の農薬の使用を認可しています。

栽培と醸造に規定がある「オーガニックワイン」

こうした土壌や環境を持つ農場で栽培されたオーガニックブドウを原料として生産されたワインを、「オーガニックワイン」といいます。2012年、ヨーロッパではブドウの栽培ばかりでなく、ワインの醸造についても規定を設けています。醸造方法や使用許可物質、使用量など、さまざまな事柄が細かく規定されています。せっかく手間暇かけたオーガニックブドウを栽培しても、醸造段階で化学合成物を使用したのでは、安心して飲むことができるワインとはいえません。醸造についても細かい規定があるのは、消費者にとって安心なことですね。

オーガニック認証

「オーガニックワイン」を購入するとき、オーガニックを名乗っていても、本当はどんな風に造られたワインなのか心配ですよね。そこで、オーガニックに栽培されたブドウを使ったワインかどうかを知る目安になるのが、オーガニック認証制度です。第三者認証機関によって、オーガニックであることを認証されたワインに付けるマークを目印にしましょう。

(オーガニック認定団体の一部)

  • AB (Agriculture Biologique):フランス(国家による認定機関)
  • Austria Bio Garantie:オーストリア(国内最大のオーガニック認定機関)
  • ACO (Australian Certified Organic):オーストラリア(有機農法農家・有機農産物加工業者の組合)
  • AGROBIO (Agriculture Biological):ポルトガル(オーガニック認定機関)
  • Associazione Italiana per L’Agricoltura Biologica:イタリア(有機農業協会)

「自然派ワイン」とは?

「オーガニックワイン」のほかに、「自然派ワイン」として店頭に並んでいるワインがあります。「自然派ワイン」とはどんなワインなのでしょうか。また、「オーガニックワイン」とは違う定義のものなのでしょうか。

醸造に違いがある「オーガニックワイン」と「自然派ワイン」

オーガニックブドウを使用した「オーガニックワイン」でも、醸造段階で工業的に生産されることが多々あります。その醸造段階で人工酵母を使用する、補酸や補糖をするワインは、「自然派ワイン」とは一線を画するものです。

対して、「自然派ワイン(ヴァン ナチュール)」とは、極力、化学肥料や農薬など化学的な物質の使用をせず、除草も人の手で行い、収穫も人の手で摘むという、自然の力を頼りに栽培する農法のブドウを原料とします。ここまでは、オーガニックと近い栽培法になりますが、さらに、醸造段階では、地中から得られるその土地由来の天然酵母の働きにより、自然な発酵を促すという醸造法を行います。人工的に醸造されたワインは、均一な品質を保ちますが、「自然派ワイン」は天候によってブドウの状態も変わり、その年その年でワインの出来も変わってきます。

「オーガニックワイン」はオーガニックに栽培されたブドウを使用して醸造したワインです。化学肥料や農薬の使用を抑え、自然の力を活かした栽培法で育てられたブドウを原料とします。「自然派ワイン(ヴァン ナチュール)」は、その土地由来の天然酵母により醸造したワインで、自然の恵みと力から造られているワインです。