デザートワインとは、その名の通りデザートのように甘口のワインのことです。ワインといえば、肉料理や魚料理などとのマリアージュを楽しむお酒という印象があるので、甘いワインと聞くと不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。今回は、デザートワインに馴染みのない方に向けて、デザートワインの種類やよく合うおつまみについてご紹介します。ぜひ新たなワインの楽しみ方を発見してみてください。
□デザートワインとは
甘口ワインのことをデザートワインといいます。この基準は明確に決められていないため、種類はさまざまです。例えば、アルコール度数の高い極甘口ワインやアルコール度数の低い中甘口ワインなどが挙げられます。
これらのワインが作られる際には、甘いワインになるよう工夫されているという共通点があります。昔は、現代のように砂糖が流通していなかったため、甘い飲み物は貴重でした。そのため、生産者は工夫して甘口ワインを作ってきたのです。
*甘口のワインにする方法
1つ目は、果汁の糖度を高める方法です。
アルコール発酵では、ブドウに含まれる糖分をアルコールに変えます。その際に、ブドウ果汁に消化しきれない量の糖分が含まれていれば、発酵後のワインの糖度が高くなります。
普通のワインであれば、アルコール度数が15度ぐらいになると発酵が止まります。アルコール度数が15度ぐらいになるには、果汁の糖度が25度であるものが必要です。そのため、果汁の糖度を25度以上のものにすると、甘口ワインができあがります。ブドウの水分を蒸発させると、成分が凝縮されて糖度の高い果汁が採れるようになります。
2つ目は、アルコール発酵を途中で止める方法です。
ブドウの糖分をアルコールに変えている途中に発酵を止めると、ワインに残る糖分が増えます。ワインを冷やしたり、二酸化硫黄を加えたりすることで止まります。この方法は、ドイツで作られているアルコール度数の低い中甘口ワインの製造に採用されています。
□デザートワインの種類について
1つ目は、貴腐ワインです。
これは、貴腐菌が付着したブドウから作られます。極甘口であることが特徴です。フランス、ドイツ、ハンガリーの3つの産地で作られている世界三大貴腐ワインが有名です。貴腐菌は限られた場所でしか生育されず、収穫や醸造に手間がかかります。そのため、貴腐ワインはとても高価で貴重なワインです。
2つ目は、アイスワインです。
これは、樹上で凍ったブドウを収穫し、そのまま圧搾して造られます。このブドウは、寒冷な地域であるカナダ、ドイツ、オーストリアでしか生産されません。ドイツのアイスワインは、アルコール度数が5.5パーセントであるため、お酒の弱い方にもおすすめです。また、一房から採れるブドウ果汁は、スプーン1杯ほどであるため、希少価値が高く、高価です。
3つ目は、遅摘みワインです。
これは、レイトハーヴェストとも呼ばれます。完熟したブドウの収穫時期を遅らせることで、ブドウの水分が蒸発します。そうすることで、より糖度の高いブドウができるため、甘口のワインに仕上がります。
4つ目は、ストローワインです。
これは、藁の上で、収穫したブドウを乾かしてから造られます。つまり、干しブドウから造られるワインです。このブドウは糖度が高いため、醸造すると普通のワインよりも1〜3パーセントほどアルコール度数が高くなります。
5つ目は、酒精強化ワインです。
酒精強化ワインは、甘口から辛口まであります。ヨーロッパでは、甘口のものをデザートワインとして飲まれています。このワインは、普通のワインよりアルコール度数が高いため、保存性に優れています。発酵途中や発効後にアルコールを加えて造られます。糖度が残ったまま発酵が止まるため、甘口のワインができあがります。
□デザートワインに合うおつまみとは
1つ目は、スイーツです。
スイーツとデザートワインは相性抜群です。特に、貴腐ワインには、濃厚なケーキがよく合います。例えば、チーズケーキやフルーツタルト、アップルパイなどです。ケーキの他には、バニラアイスやクレームブリュレなどがおすすめです。
2つ目は、フルーツです。
フルーツをシロップで煮詰めたものや、ドライフルーツがよく合います。生のフルーツは、デザートワインの甘さに負けてしまいます。そのため、同じくらいの濃厚な甘みのものを選ぶと良いでしょう。
3つ目は、チーズです。
ヨーロッパでは、デザートの代わりにチーズが食べられます。特に、ブルーチーズとデザートワインは相性が良いです。ブルーチーズのしょっぱさと、貴腐ワインの甘みがそれぞれの味わいを引き立てます。また、はちみつを垂らしたチーズもよく合います。
□まとめ
今回は、デザートワインの種類やよく合うおつまみについてご紹介しました。デザートワインといえば、甘口ワインのことを指しますが、低アルコールの中甘口ワインや高アルコールの極甘口ワインなども含まれます。ぜひ紹介したおつまみと一緒にお楽しみください。