「筋トレをした後にワインを飲みたいけど、それが筋肉量に与える影響が心配」
筋トレとワインが好きな方の中には、このような考えを持っている方もいるかもしれません。筋トレを行ったにも関わらず、ワインの飲み過ぎで筋トレの効果が薄まってしまわないために、今回は筋トレ後にワインを飲むと筋肉にどのような影響をもたらすのかについて説明します。
□ワインを飲むと筋肉が増える?それとも減る?
体を動かした後に飲むワインの美味しさは、格別ですよね。
運動後のワインを楽しみにする人も多いかもしれません。
しかし、筋トレ後に大量の飲酒をしている方は、気を付けた方が良いかもしれません。2014年に行われたステイナー博士の研究により、アルコールが筋肉細胞のタンパク質合成を行うmTOR(エムトール)シグナルを阻害するということが明らかとなりました。
mTORシグナルとは、筋肉をつくるスイッチのことで、筋肉タンパク質合成の割合が上昇すればするほど筋肥大に繋がります。
このように筋トレ後の飲酒は、筋トレの効果に悪影響をもたらすという研究がある一方、筋トレ後すぐにワインを飲めば、筋肉の肥大化が阻害されず、むしろエネルギー源として利用されるという説もあります。
筋トレ後の筋肉は、エネルギーを使い切った雑巾状態です。そこにワインを流し込むことで、血流が良くなり、アルコールに含まれるカロリーが効率良く筋肉のエネルギー源として利用される可能性があるのです。
結局のところ、運動後にワインを飲むと筋肉が増えるのでしょうか、それとも減るのでしょうか。これは、2014年のバーンズ博士による研究で明らかになっています。
バーンズ博士によると、適量のアルコール摂取であれば、筋肉パフォーマンスに影響はなく、短時間に大量のアルコールを摂取すると悪影響をもたらします。筋トレ後に飲酒をしたい方は、アルコールの摂取量に気を付けて、筋トレの効果が薄まらないようにしましょう。
*ワインの適量はどれくらいなのか
厚生労働省の「健康日本21」によると、1日当たりの純アルコールの摂取量を20グラム以下に抑えるのが良いとされています。もちろんこれはアルコールを分解できない体質の人や、妊娠中の人、授乳中の人、持病がある人には適用されません。
ワインは比較的アルコール度数が高いアルコール飲料で、平均的なアルコール度数は14度です。これから計算すると、ワインの適量は180ミリリットルであるということになります。これは一般的なワイングラスの1杯と少しの量です。
□筋トレ後にワインを飲む時のポイント
筋トレ後にワインを飲む時は、以下のポイントを意識してみると良いでしょう。
1つ目は、水をたくさん飲むことです。
筋トレ後に飲酒すると脱水症状になることがあります。特に、アルコール度数が高いワインは脱水が進みやすいので、筋トレ後にワインを飲む場合はできるだけたくさんの水を飲みましょう。
2つ目は、適量にすることです。
飲酒による悪影響は、トータルのアルコール量が問題です。筋トレ後にワインを飲む時は、適量の180ミリリットルに抑えましょう。
3つ目は、摂取カロリーを計算することです。
ワインのアルコール度数や糖分量によってカロリーが異なり、アルコール度数や糖分量が高いほどカロリーも高くなります。筋トレで消費したカロリーを上回らないように計算して飲酒するのをおすすめします。
□筋トレ前の飲酒は絶対にダメ!
アルコールを摂取した後に運動をするのは、絶対にやめてください。
以下より、ワインを飲んでから筋トレをするのが良くないといわれる理由について紹介します。
1つ目は、怪我の危険があるからです。
酔った状態で筋トレをすると、集中力の低下により、怪我に繋がることがあります。
2つ目は、筋肉の成長を妨げてしまうからです。
飲酒をすることで、「コルチゾール」というホルモンが多く分泌され、筋肉が分解されます。また、タンパク質を筋肉に変える働きをする「テストステロン」というホルモンが減って筋肉の合成が抑制されることもあります。このように筋肉が分解されたり、筋肉の合成が抑制されたりすることによって、筋トレの効率が低下する恐れがあるのです。
3つ目は、睡眠の質が悪くなってしまうからです。
飲酒をすると、アルコールを分解する過程で発生する「アセトアルデヒド」という物質が睡眠の質を悪くさせてしまいます。眠っている間は、筋肉の合成や回復を行ってくれる「成長ホルモン」が分泌されますが、眠りが浅くなってしまうと、この成長ホルモンが十分に分泌されず、筋肉の成長に悪影響をもたらします。
□まとめ
筋トレ後にワインを飲む際は、アルコール摂取量に注意しましょう。1杯から2杯のワインであれば、筋肉への影響はほとんどないと考えて良いでしょう。しかし、筋トレ前の飲酒は、怪我に繋がったり、睡眠の質が下がったりする危険性があるので絶対にやめてください。筋トレとワインの関係を知り、ワインを健康的に楽しみましょう。