お店でワインボトルを見てみると、750mlのものが多いことに気づかれる方も多いのではないでしょうか。ではなぜワインボトルは750mlなのでしょうか。今回はワインボトルが750mlの理由についてご紹介します。産地ごとのワインボトルの特徴や、さまざま量のワインボトルがある理由についても見ていきましょう。
□ワインボトルが750mlの理由とは?
実は、ワインボトルにはさまざまな形状があります。
フランスワインにはいかり肩のボルドーワイン、なで肩のブルゴーニュワイン、細長いアルザスワインがあります。また、ドイツワインにはボックステイル型のものがあります。いずれも形は異なりますが、どのワインボトルも通常は750mlなのです。
その理由にはイギリスが深く関係しています。
イギリスではワインが大量に消費されており、ボルドーワインといった大陸側のワインがイギリスに多く輸出されていました。ボルドーワインは大きく発展し、ワインの普及につながりました。そんなボルドーワインをイギリスに輸出する際に、750mlが都合がよかったので、ワインボトルは750mlになったのです。
昔のイギリスではガロンという単位が使われており、1ガロン4.5リットルでした。そのため、1本を750mlとし、12本で1ダース、つまりちょうど2ガロンになるようにして輸出されていました。また、ボルドー地方で使用される樽は225リットルが一般的です。これは750mlのワイン300本分に相当します。
つまり、750mlはイギリスで輸出・輸入する際に便利な容量だった、ということなのです。
□産地ごとのワインボトルの特徴をご紹介!
1.ボルドー型
肩の部分で澱をためるため、いかり肩の形状となっています。
ボルドー型は世界中で使用されています。
2.ブルゴーニュ型
なで肩であり、ボトルを交互に並べて運搬できるといったメリットがあります。
フランスのブルゴーニュ地方やローヌ地方でよく用いられています。
3.ライン型とモーゼル型
これらはフルート型とも言われており、肩がなくスリムな形状をしていることが特徴です。
このうち茶色のボトルはドイツのライン地方、薄緑色のボトルはモーゼル地方が代表的な産地です。
4.アルザス型
ライン型やモーゼル型よりもさらに細長い形をしています。
濃いめの緑色のガラスを使用しており、フランスのアルザス地方が代表的な産地です。
5.ボックステイル型
ドイツのフランケン地方やポルトガルの一部など非常に限られた地域で使用されています。
ワイン袋をもとにつくられたと言われています。
6.シャンパーニュ型
高圧のガスに耐えられるように下部が少し膨らんだ形状をしています。
他のワインボトルよりも厚手のガラスが使用されています。
7.プロヴァンス型
なで肩でくびれた形が特徴です。
フランスのプロヴァンス地方でよく使用されています。
8.フィアスコ型
イタリアのトスカーナ地方で用いられていたボトルです。
フィアスコと呼ばれる藁(わら)に包まれています。
□いろいろな量のワインボトルがある理由
ワインボトルには750mlだけでなく、300mlや375ml、1500ml、3000mlなどもあります。
なぜ、こんなにもさまざまな量のワインボトルがあるのでしょうか。
その理由は大きく2つあります。
*理由1. 消費者の用途に合わせるため
消費者のさまざまなニーズに応えるために、複数の容量のワインボトルがあります。一人飲み用や、二人飲み用、パーティー用というように用途に合わせて使い分けられます。
1500mlや3000mlなどの大容量のワインボトルは、多くの人が集まるパーティーで人気が高くなっています。存在感があり、見栄えも良いため盛り上がるのです。また、大容量のボトルはコマーシャルに使用されることが多くなっています。見栄えも良く、効果的なのでしょう。
*理由2. ボトルの容量によって熟成度合いが異なり味わいが変わるため
大容量のワインボトルには以下の2つの特徴があります。
1.熟成が穏やかになる
ワインボトルの量が少なければワインが酸素と触れる面積が大きくなってしまいます。そのため、熟成速度がはやくなります。一方で、ボトルの容量が多い場合は、ワインと酸素が触れる面積が小さくなります。
そのため、ワインが穏やかに熟成することになるのです。ワインの味の好みは人によって異なりますが、大きいボトルに入っている方が美味しいと感じる方も多いようです。
2.ワインの保存状態が良くなる
ワインボトルの容量が多いほど、保存状態が良くなります。その理由は、ワインが温度変化しにくくなるためです。ガラスに接していない部分が多いほど、温度変化の影響を受けにくくなります。そのため、750mlのワインよりも1500mlのワインの方が、保存状態がよく熟成も安定するのです。
□まとめ
今回はワインボトルが750mlの理由についてご紹介しました。ワインボトルが750mlである理由にはイギリスが深く関係しています。ボルドーワインの輸出入の際に、750mlがキリの良い数字だったため世界中でよく使用されるようになったのです。このようなワインの知識を深めながらワインを嗜むのも大人の楽しみのひとつです。ぜひさまざまなワインの知識を身につけて、ワインの世界に興味を持っていただけると幸いです。